平成28年度 若手研究者学長表彰 澳门皇冠赌场_澳门皇冠体育報告
徳島大学病院神経内科 特任助教 佐光 亘
MRIなどの神経画像を用いた神経疾患の病態機序解明と新規診断?重症度評価法開発
【研究グループ】
- 徳島大学医歯薬学研究部 臨床神経科学分野 梶 龍兒
- 徳島大学医歯薬学研究部 臨床神経科学分野 和泉唯信
- 徳島大学医歯薬学研究部 放射線医学分野 阿部考志
- 徳島大学医歯薬学研究部 放射線医学分野 原田雅史
【学術誌等への掲載状況】(2015年度以降)
1.Wataru Sako, Takashi Abe, et al. Spontaneous brain activity in the sensorimotor cortex in amyotrophic lateral sclerosis can be negatively regulated by corticospinal fiber integrity. Neurol Sci 2017, in press.
2.An Vo, Wataru Sako, et al. Parkinson's disease-related network topographies characterized with resting state functional MRI. Hum Brain Mapp 2017 38(2), 617-630.
3.Paul J. Mattis, Martin Niethammer, Wataru Sako, et al. Distinct brain networks underlie cognitive dysfunction in Parkinson and Alzheimer diseases. Neurology 2016 87(18), 1925-1933.
4.Wataru Sako, Takashi Abe, et al. Imaging-based differential diagnosis between multiple system atrophy and Parkinson's disease. J Neurol Sci 2016 368: 104-108.
5.Wataru Sako, et al. The difference of apparent diffusion coefficient in the middle cerebellar peduncle among parkinsonian syndromes: Evidence from a meta-analysis. J Neurol Sci 2016 363: 90-94.
6.Wataru Sako, Takashi Abe, et al. Fractional anisotrophy in the supplementary motor area correlates with disease duration and severity of amyotrophic lateral sclerosis. Neurol Sci 2016 37(4): 573-577.
7.Wataru Sako, Takashi Abe, et al. The ratio of N-acetyl aspartate to glutamate correlates with disease duration of amyotrophic lateral sclerosis. J Clin Neurosci 2016 27: 110-113.
8.Wataru Sako, et al. The visual perception of natural motion: abnormal task-related neural activity in DYT1 dystonia. Brain 2015 138(Pt 12): 3598-3609.
9.Wataru Sako, et al. The effect of tremor onset on middle cerebellar peduncle of Parkinson's disease. J Neurol Sci 2015 358(1-2): 172-177.
10.Phoebe G. Spetsieris, Ji Hyun Ko, Chris C. Tang, Amir Nazem, Wataru Sako, et al. Metabolic resting-state brain networks in health and disease. Proc Natl Acad Sci U S A 2015 112(8): 2563-2568.
11.An Vo, Wataru Sako, et al. Thalamocortical connectivity correlates with phenotypic variability in dystonia. Cereb Cortex 2015 25(9): 3086-3094.
magnetic resonance imaging (MRI)やMR spectroscopy (MRS)を中心とした神経画像は、ヒトの脳を傷つけることなく、その機能と構造を評価できるツールとして研究?臨床に応用されてきました。佐光 亘 特任助教らは、MRIやMRSを用いて、パーキンソン病をはじめとするパーキンソン症候群、ジストニア、筋萎縮性側索硬化症、そして認知症などの中枢神経に異常を持つ神経疾患の病態解明とそれに基づく新規バイオマーカー開発に取り組んできました。これらの疾患では、実際の臨床?臨床試験において汎用性の高い客観的な診断法や、重症度を評価できるバイオマーカーは未だに開発されておらず、新たな診断?評価方法の確立が待たれています。さらに、佐光 亘 特任助教らは、各バイオマーカーのより強固なエビデンスを確立するメタ解析の手法を神経画像研究へ応用することにも成功しました。
図1
図1. 臨床試験の流れとバイオマーカーの関係の簡略図。ある薬の効果を判定するために臨床試験が行われるが、その対象となる神経疾患の、汎用性の高い客観的な診断法や病状評価方法は未だに確立されていません。その候補としては「バイオマーカー」枠内に示されたような神経画像やタンパク質があります。今回示した研究では、主にMRIを中心とした神経画像を用いてバイオマーカー開発を行っています。
本研究における成果は、各疾患に対する新規バイオマーカー候補として、別の前向きコホートを用いて現在検証が行われています。 さらに、血液や髄液などのタンパク質バイオマーカーの開発にも取り組み始めました。最終的にはこれら神経画像?タンパク質などの複数のバイオマーカーを統合した、より正確なバイオマーカー開発へと発展していく予定です。 こういった研究が、今後実際の臨床や臨床試験で使われるバイオマーカーへつながることが期待されています。