徳島大学病院では血漿ホモシステイン濃度の上昇が統合失調症の発病リスクを高めることをメンデル化無作為解析を用いて明らかにしました

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血漿ホモシステイン濃度の上昇が、統合失調症のリスクを高める可能性のあることを徳島大学沼田周助講師、大森哲郎教授らの研究グループが、高知大学、大阪大学と共同研究を行い、明らかにしました。これらの結果は、統合失調症の診断?治療法の開発に役立つことが期待されます。

統合失調症は罹患率1%と頻度が高く、WHOによれば長期的な障害をきたす疾患のうちでトップ10に入る主要疾患であり、思春期から成人早期に発症し、慢性?再発性の経過をたどります。遺伝因子と環境因子が相互に作用して発症すると考えられていますが、その原因についてはいまだよくわかっていません。

グループでは、協力が得られた日本人の統合失調症患者381名と、統合失調症でない998名の血漿ホモシステイン濃度を測定、比較し、患者群で有意に高いことを明らかにしました。つづいて、血中ホモシステイン濃度に影響を与えることが知られているメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素遺伝子の機能性多型に注目し、日本人統合失調症患者およそ4300人と、統合失調症でないおよそ6000人を対象に調べ、塩基配列に一部違いのある人は、統合失調症の発症リスクが1.18倍に高くなることを明らかにしました。これらの結果を用いて、「観察疫学研究」と「ゲノム科学研究」を組み合わせたメンデル化無作為解析を行い、血漿ホモシステイン濃度4.8nmol/ml上昇あたり統合失調症の発症リスクが1.15倍に高くなるという結果を得て、血漿ホモシステイン濃度の上昇が統合失調症のリスクを高めるという因果関係を明らかにしました。本内容は、Schizophrenia Bulletinに掲載予定です。

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