L-12:膵島および膵外分泌組織への高い移行性と集積性を示す脂質ナノ粒子製剤技術

HOME事業紹介徳島大学シーズライフサイエンス、創薬、医療機器L-12:膵島および膵外分泌組織への高い移行性と集積性を示す脂質ナノ粒子製剤技術

シーズ一覧に戻る前頁次頁│ 〔印刷用PDF

徳島大学シーズ<L-12>:ライフサイエンス、創薬 sdgs-03
 

膵島および膵外分泌組織への高い移行性と集積性を示す脂質ナノ粒子製剤技術
― 膵臓標的治療薬の送達技術開発 ―

金沢 貴憲 教授 大学院医歯薬学研究部 薬学域 薬科学部門 生命薬学系 薬物治療学
キーワード 脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle;LNP)、DDS(Drug Delivery System)、膵臓、膵島、糖尿病、膵β細胞、膵がん
研究室URL /ph/faculty/labo/cpt/
研究の概要
<糖尿病の根本的な予防?治療には、膵臓?膵島への薬物送達が重要>
 膵β細胞が局在する「膵島」は糖尿病の根本的な予防?治療における重要な標的組織である。既存の医薬品?動物用医薬品?機能性健康食品は糖の吸収を抑制する対症療法に留まっており、「膵β細胞の減少」に対する根本的な改善は期待できない。新たな糖尿病治療薬の開発には、膵β細胞の保護?増殖作用のある化合物を膵島(送達困難組織)へ届ける、膵臓?膵島への「送達用組成物(ナノ粒子製剤など)」の開発が必要と考えるが、現在、膵臓?膵島への薬物送達を可能にする先行研究はほとんどない。

<技術課題:膵島集積効率を高めるLNPの設計/解決方法:脂質組成や粒子径の最適化>
 脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle ; LNP) はヘルパー脂質(中性リン脂質, コレステロール)、PEG化脂質、イオン化脂質から構成され、mRNAやsiRNAといった核酸の送達に効果的なDDSキャリアである。
 本研究において、LNPの膵島集積効率を最大限に高める組成?物性の比率を見出した。また、粒子径が小さいLNPほど、肝臓および膵臓への分布が高くなるが、膵島への集積に着目すると、粒子径が大きいLNPほど分布?集積する結果が得られている。
 
想定される用途と製品化?事業化イメージ

<糖尿病、膵臓疾患、膵島、ナノ粒子製剤、核酸医薬、創薬>
 本澳门皇冠赌场_澳门皇冠体育で得られたLNP を利用することで、これまで、siRNA、mRNAを封入し、膵β細胞に導入できることを確認している。本技術は、特殊な材料や製法は不要であるため、導入コストが削減されることが期待できる。また、膵島機能障害および膵島量の減少を呈している1型および2型糖尿病や慢性膵炎、膵がんなど膵臓疾患への新規治療薬展開が期待される。

L-12-1.png

図1.組成による臓器への集積状況
DSPC/Cholは他の組成に比べて脾臓へ分布しやすい
L-12-2.png
図2.DOPC/Chol 粒子径毎の膵島へのLNP分布
特許 PCT/JP/2024019985 脂質ナノ粒子
論文 Takayuki Oguma, Takanori Kanazawa, Yukiko K. Kaneko, Ren Sato, Miku Serizawa, Akira Ooka, Momoka Yamaguchi, Tomohisa Ishikawa, Hiromu Kondo, Effects of phospholipid type and particle size on lipid nanoparticle distribution in vivo and in pancreatic islets, Journal of Controlled Release, 2024:373;917–928
DOI https://doi.org/10.1016/j.jconrel.2024.07.059

 

お問合せ先

徳島大学 研究支援?産官学連携センター
TEL:088-656-7592
E-mail:rac-info@tokushima-u.ac.jp

 

PAGE TOP