工業会会員の中で企業の取締役や役員等リーダーシップを執る立場にある方々と理工学部?生物資源産業学部の学科長(コース長,系長)らで構成される「工業会T&E 会」が2008年度に設置され,現在まで継続して活動しています。T&Eとは「Top and Executive」であり,企業と大学で相互に連携を保ちつつ,本学の研究や教育への有形無形の協力や助言をいただきながら,工業会会員にも本学の情報を提供していただくことが趣旨となっています。

2023年度活動としては,2023年12月18日(月曜日)に工業会近畿支部連合会が主催で,就職支援セミナーが開催され,卒業生3名の方々の講演がありました。講演者や教職員,学生トータルで42名が参加しました。まず,応用化学S59卒,一般財団法人消防試験研究センターにお勤めの古川勉氏より「律速段階」一般県庁職員になった工学士のひとりごと,というタイトルでお話をいただきました。律速段階とは一番化学反応に時間がかかるプロセスのことだそうです。和歌山県庁での38年間10部署での業務を回顧したうえで,社会人としてやりたいことを見据え,異文化と積極的に接し,情報を収集?活用する姿勢が重要,それには一定時間がかかり,試行錯誤も必要になるが,多方面の視野による気付きがやがて実を結ぶ,というキャリアの積み方の提案を披瀝いただきました。

次に,生物H18修,和歌山工業高等専門学校の西本真琴氏より,女性高専教員として仕事と育児?生活の調和を保ちつつ人生を楽しむ,ライフワークバランスについてのお話がありました。就業時間シフトなど,様々な支援制度は利用されているとのことでしたが,一日のスケジュールはかなりハードには見えました。しかし,講演からは溢れる充実感がひしひしと伝わるので,研究者の上手な働き方を実践されているのだなと思いました。聴講学生の女性大学院生も大きくうなずいていました。

最後は,知能情報H8卒,西日本電信電話株式会社愛媛支店の宮﨑博志氏が登壇されました。定年後を見据えたライフコースの見直し,無理せず長く働くための人生設計が必要ということで(氏はしかし,まだ50代に入ったばかりですが)資格取得を目指すに至った過程や将来展望をお話しいただきました。資格取得は単にスキルアップというだけでなく,あらゆる側面におけるモチベーション維持や心の余裕につながる,ということでご自身の監理技術者,技術士などの資格取得の経験を通じた人生観を話していただきました。本セミナーを主催?司会進行いただいている電気S61卒,鹿島建設株式会社の黒田憲二氏も2022年度から立ち上がった徳島大学技術士会を牽引されており,キャリア形成,資格取得?リスキリングというより広い視野での就職支援セミナーは,今後も学生にとって重要な情報収集の場となって いくように感じました。

最後に,本セミナー開催に関して,ご支援くださった関係各位にお礼申し上げます。

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