徳島大学?高知大学?香川大学との共同開催で
(SPOD開放プログラム)「授業について考えるランチセミナー」<障害学生に対するキャリア支援>が開催されました。
ご参加いただいた皆さま、大変ありがとうございました。
■開催日時
第1回 2025年2月13日(木)12:05~12:50
第2回 2025年2月20日(木)12:05~12:50
■参加者
第1回 2月13日
68名(Zoomによるオンライン)
第2回 2月20日
60名(Zoomによるオンライン)
■コーディネーター?講師?登壇者
コーディネーター: 杉田 郁代(高知大学学び創造センター)
第1回 2月13日
講師: 杉田 郁代(高知大学学び創造センター)
第2回 2月20日
講師: 杉田 郁代(高知大学学び創造センター)
登壇者: 大沼 泰枝(香川大学学生支援センター)
畠 一樹(徳島大学高等教育研究センター)
■内容
第1回
第1回では主に、障害をもつ学生における状況やその支援に向けた政策の動向について、文部科学省「障害のある学生の修学支援に関する検討会」による『障害のある学生の修学支援に関する検討会報告第三次まとめ』(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/123/mext_01732.html)をもとに講師から解説がなされた。
まず、とくに講師が強調したのが、障害のある学生の支援に向けて、大学における学内の体制を整備すること、とくにそれら学生支援部署の「連携?協働」の必要性である。すなわち本セミナーのテーマである「キャリア教育」においては、学生支援部署とキャリア教育担当部署が連携することであり、学生が低年次の段階から働きかけることで大学卒業後のキャリアの選択肢が増えることが期待されること、一方でそれらの領域は未着手であり、今後発展させていく必要があることが講師から示された。現在実施されている主な事例としては、障害のある学生向けの就職ガイダンスやセミナーの実施、ハローワーク等の学外機関との連携がある。
とくに現在、発達障害や精神障害を有するため合理的配慮が必要な学生が増加していることを踏まえ、講師は学外機関との連携によるキャリア教育?支援の取り組みが重要であることを強調している。その中でもとくに重要な連携先として挙げられたのが、発達障害者支援センターや広域障害者職業センターといった地域の支援機関である(https://www.jasso.go.jp/faq/gakusei/tokubetsu_shien/career/1190802_2800.html)。
また、障害のある学生のキャリア支援に対しては、通常のキャリア支援(一般企業への就職)に加えて福祉的支援(障害者雇用制度や福祉サービスの活用等)を含めた多様な選択肢があることを踏まえた支援が求められることについても説明がなされた。
最後に障害のある学生のキャリア支援に対しては、学生個人にも低年次の段階から自己の障害特性について理解し、支援者や就職先といった他者に説明できるようになることが求められること(https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/support13.html)やセルフアドボカシー(セルフマネジメント)等のスキルの習得(https://www.jasso.go.jp/gakusei/tokubetsu_shien/shogai_infomation/handbook/index.html)、またそのための個別支援が必要となることが述べられた。
第2回
第2回は香川大学?徳島大学における学生支援部署?キャリア教育担当部署の教員が登壇し、主に障害のある学生のキャリア支援としてそれぞれの大学でどのような取り組みがなされているかについて紹介がなされた。
香川大学からは学生支援センター 大沼 泰枝 先生が登壇し、障害のある学生の支援部署の視点から障害のある学生のキャリア支援の取り組みについて紹介がなされた。香川大学では、これまでは障害のある学生に対する修学支援の一部としてキャリア支援を個別対応で行ってきたものの、障害のある学生の増加や人的リソースの問題があることを踏まえ、集団に向けての支援策が必要となったことが説明された。その上での取り組みとして、キャリア支援センターとの連携で、学生向けの就職活動における勉強会を開催することとなった。その内容について報告が行われると共に、今後の課題として予定が合わない学生のためのオンデマンド教材の作成や地域の支援機関との連携、就職に関するより専門的な情報やスキルの習得のためのキャリア支援センターとの連携強化等が挙げられた。
続いて徳島大学からは高等教育研究センター 畠 一樹 先生が登壇し、キャリア支援担当部署が実施している障害のある学生の支援に向けた取り組みを紹介した。その中では部署に相談に来た学生に対して、学内の総合相談部門やアクセシビリティ支援室といった障害学生支援部署を紹介し、障害をもつ学生に対する専門的な支援につなげていきながら就職支援を行うといった取り組みが行われていることが示された。一方で、障害をもつ学生を支援できる専門性を持つ人材が不足していること、就職支援を行う職員が有期雇用であったり異動を伴うためノウハウの蓄積が難しいこと、グレーゾーンの学生に対しては障害の有無に対して教職員側の把握が難しいこと、障害がある学生はコミュニケーションを行うことに抵抗感があると推察されるため、学生の実態を把握することが難しいといった点が挙げられた。
以降は講師と登壇者を交え、LearnWiz Oneに投稿された質問に対する回答を中心とした質疑が行われた。
■成果と課題
参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1回、第2回ともに全ての回答者から肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また、他の設問においてもおおむね肯定的な回答が得られた。
第1回(2月13日) | 第2回(2月20日) | |
---|---|---|
とても当てはまる |
16 (59.3%) |
8 (42.1%) |
どちらかといえば当てはまる | 11 (40.7%) | 10 (52.6%) |
どちらかといえば当てはまらない | 0 (0%) | 1 (5.3%) |
まったく当てはまらない | 0 (0%) | 0 (0%) |
合 計 |
27 (100%) |
19 (100%) |
※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。
自由記述においては、障害をもつ学生に対するキャリア教育や就職支援の重要性を知ることができた、具体的な事例を見ることができ有益であったという意見が多く見られた。とくに実際にこれらの活動に携わっている担当者からは、このような学生に今後対応する可能性、あるいは現在進行形で対応している現状にあたって重要な示唆が得られたといったコメントが寄せられた。また、今後の希望として実際に対応を受けた側の学生の言葉を聞きたいといったものや、障害をもつ学生だけでなく留学生を対象とした支援についても知りたいといったものがあった。合理的配慮を要する学生に対する支援を扱った回はこれまでのランチセミナーでも関心が高く、今回も多数の教職員が参加した。合理的配慮については現在においても制度の整備や実践が進められており、今後も有用な情報が提供できるよう、最新の動向を収集しセミナーの計画?実践を行いたい。
■アンケート回答結果
第1回 (n=27)
第2回 (n=19)
■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)
ご不明な点などございましたら、下記アドレスもしくは、電話でお問合せください。
教育支援課教育企画係 メール:kykikakuk@tokushima-u.ac.jp
電 話:088-656-7686 内線(82)7125
徳島大学全学FD推進事業も紹介していますのでぜひご覧ください!
http://www.tokushima-u.ac.jp/highedu/reform/