徳島大学?高知大学?香川大学との共同開催
(SPOD開放プログラム)「授業について考えるランチセミナー」<学生の学習を促す試験問題?レポート課題の作り方>が開催されました。
ご参加いただいた皆さま、大変ありがとうございました。

■開催日時
 第1回 2025年1月9日(木)12:05~12:50
 第2回 2025年1月16日(木)12:05~12:50

■参加者
 第1回 1月9日
  74名(Zoomによるオンライン)
 第2回 1月16日
  78名(Zoomによるオンライン)

■コーディネーター?講師?登壇者
  コーディネーター: 吉田 博(徳島大学高等教育研究センター)
 第1回 1月9日
  講師: 吉田 博(徳島大学高等教育研究センター)
 第2回 1月16日
  講師: 吉田 博(徳島大学高等教育研究センター)
  コメンテーター: 塩川 奈々美(徳島大学高等教育研究センター)
  登壇者:   森 稼頭人(徳島大学生物資源産業学部2年)
       峯松 明日香(徳島大学理工学部2年)

■内容
 
 第1回
 第1回では主にレポート課題に焦点を当て、とくに「コピー&ペースト(コピペ)を防ぐ」ことを念頭に置いたレポート課題の作り方の工夫について解説が行われた。
 まずはレポートや試験という評価の目的や双方の特徴について説明が行われたのち、レポートや試験問題を考える際の重要なポイントである「授業計画全体を考えること」が提示された。
 その後はレポート課題に焦点を当て、コピペを防止するためには学生の能力や授業の到達も目標に合わせた課題を設定すること、すなわち授業設計や、レポートの種類やそれぞれの特徴について基本的な理解を押さえておく必要があることが講師から示された。同時に、これらの理解に役立つ文献や資料についていくつか紹介がなされた。
 また、実際に収集された実践事例をもとにしたレポート課題やその実施における工夫についていくつかの例も示された。例えば、課題を出した次の授業回においてレポートの解説を行ったり、レポートの書き方に関する教材や資料を授業中に紹介したりするといったものが挙げられた。加えて課題文も単に「論じよ」とするのではなく、内容面や文章形式を工夫させることでコピペを防ぎうることを示した。
 さらにChatGPTをはじめとする生成AIが急速に普及している現状を踏まえ、レポート課題における生成AIの不正な使用を防ぐにはどうするかについても講師から提案がなされた。その中には実際にChatGPTを活用して文章を作成させ、それについて学生が批評するといったものや、ChatGPTが生成した文章と学生自身で書いた文章について比較させるといったものがあった。他にも授業の中で学生にレポートの書き方について指導し、レポートに関する理解を深めることで学習意欲や学習成果を向上させるとともに不正を防ぐ一助となることが示された。

 第2回
 第2回はまず第1回の内容の振り返りに加え、寄せられた質問に対する講師の回答から始まった。その後、今回は記述式や多肢選択式の試験問題の作成に焦点を当て、授業の目的に沿った試験問題をどのように作成するかについて講義が行われた。
 その第一として、まず講師から短答式、穴埋め式、多肢選択式、論述式といった試験問題の種類と、それぞれの特徴や評価できる能力について、相互に比較しながら紹介がなされた。その後、これらの試験問題の種類や特徴を踏まえて、試験問題を作る際の工夫について解説が行われた。例えばその例として、複数の種類の試験問題を組み合わせることや、学生の興味を喚起するような内容(国家試験や時事問題に関するもの等)を用いることが挙げられた。さらには多肢選択式問題では回答形式を複数にすること等で自身の理解によらずとも正答となりうることを防いだり、記述式問題であれば学生自身の考えや解答に至った経緯を書かせたりするといった工夫も効果的であることが述べられた。さらに試験結果を学生にフィードバックすることの有効性やその方法についても紹介がなされた。その方法としては、教員の負担も鑑み、模範的な解答を共有する、学生自身に自己評価を行わせる、平均点等のデータを示すといった例が示された。
 その後は実際の学生2名に参加してもらい、第1回で募集した学生に尋ねたい4つの質問の中から回答してもらった。学生からはテストの解説と同時に学習におけるポイントや重要な点を伝達されることで授業内容の理解が深まることや、大学で初めてレポートを執筆したさい、書き方が分からなかったり、授業によって提出方法や書式等が違うことで困惑したりしたといった、自身の経験にもとづいた意見が出された。またコメンテーターとして登壇した塩川 奈々美 先生からは、教養教育の授業内で実施したアンケート(n=28)の結果についても紹介があった。その後は参加者から匿名で質問を投稿することができるLearnWiz Oneを活用して質問を受け付け、学生視点からの意見を踏まえながら議論や質疑応答がなされた。

■成果と課題
 参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1回、第2回ともに全ての回答者から肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また、他の設問においてもおおむね肯定的な回答が得られた。

表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果
   第1回(1月9日)   第2回(1月16日) 
とても当てはまる

24 (75.0%)

11 (57.9%)

どちらかといえば当てはまる 8 (25.0%) 8 (42.1%)
どちらかといえば当てはまらない     0 (0%) 0 (0%)
まったく当てはまらない 0 (0%) 0 (0%)
合 計 32 (100%) 19 (100%)

※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。

 自由記述においては、第1回ではレポート課題の出し方についての工夫について知ることができた点が有益であったといった感想や、ChatGPTとどのように共存すべきかという点で示唆を得られたといった記述が見られた。また第2回では学生からの意見を聞くことができ有意義であったという意見が多く寄せられた。一方で改善案や希望としては。ChatGPTを授業でどのように活用すべきかより深掘りした話が聞きたいといったものがあった。
 今回は多くの教職員が参加し、またアンケート結果についても高い評価を得られた。このことから、授業における課題をどのように作成するかについては多くの教員にとって共通の課題であると言える。加えてChatGPT等、最先端の技術や環境の変化にどのように対応するかについても教員は問題意識を持っていることがうかがえた。これらについては、引き続き情報や事例の収集を続け、各教員の授業改善に資する情報を提供できるよう努めたい。

■アンケート回答結果
 第1回 (n=32)

グラフ1.png
 第2回 (n=19)
グラフ2.png 

■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)
図1.png 
図2.png 

ご不明な点などございましたら、下記アドレスもしくは、電話でお問合せください。
教育支援課教育企画係 メール:kykikakuk@tokushima-u.ac.jp 
           電 話:088-656-7686 内線(82)7125

徳島大学全学FD推進事業も紹介していますのでぜひご覧ください!
http://www.tokushima-u.ac.jp/highedu/reform/

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